【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 騎士団に所属しているとは言えない。伝令とは人に伝えることだが、それを教えると言い換える。
「まぁ。先生だったのね?」
 その言葉には曖昧に微笑む。嘘はつきたくないが、本当のことは言えない。
「シア。ぽっぽちゃんは?」
 シェリーは今年で四歳になるところだという。よほどぽっぽちゃんが気に入ったようだ。
「ぽっぽちゃんは、シェリーを守るために、馬車の周りを飛び回っています」
 さすがに鳩まで馬車に乗せることはできない。シェリーはそれを残念がっていたが、アリシアが説得した。
 それにぽっぽちゃんは賢い。異変があればすぐに教えてくれる。だから馬車より先に進んで、怪しいところがないかを確認しているのだ。多分。
 馬車の旅はそれなりに快適だった。
 この馬車に乗っているのがこの国の王女であったら、護衛が何十人もついての大移動となったであろう。だが、安全性に配慮して派手に移動すれば、逆に狙われる可能性も高くなる。守らなければならないものだからこそ護衛が多いと、悪巧みする者たちは考える。
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