【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「……シア?」
 ひゅっとフランクの顔色が変わった。目が鋭く細くなり、危険な光を帯びる。
「あまり僕を怒らせないほうがいいのでは? 魔法がなくても僕には呪具がありますから」
「ヘリオスと引き離され、あなたに好きなようにされるくらいなら、死んだほうがマシです」
 シアはフランクの背後の窓際に駆け寄り、すぐに窓を大きく解放した。明るい光が部屋に差し込み、遠くの喧騒が耳に届く。
「さようなら、フランク」
「なっ……シア! 君が死んだら呪具が……」
 落ちていくシアの身体を掴もうとするフランクの手は、むなしく宙をかすめた。
 シアの身体は窓の外へと傾き、陽光の中に溶けていく。
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