【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「だが、逃げられたら困るということで、第一騎士団を動かしてもらったが……」
 宿を囲んでいる騎士団が第一なのだろう。
「エイミだからな。あれは、エイミを取り押さえるためでもある」
 エイミを取り押さえるとはどのような状況かがまったく想像できなかったが、これを尋ねてはならないとシアの心が訴えていた。
「ところでアリシア、馬には乗れそうか?」
 宿から少し離れた場所に、馬が一頭、つながれていた。
「ジェイラスさん……馬でここまで?」
「ああ。俺たち騎士団は、有事の際に使っていい道がある。そこを馬で飛ばしてきた」
「エイミさんも……?」
「あれは……一人で馬には乗れない」
 ジェイラスがものすごく不機嫌な表情になったので、これもこれ以上尋ねてはならないとシアは思った。きっとエイミと二人乗りしてきたのだ。だから、二人分の鞍がついているのだ。
 エイミの真実を聞いていたからジェイラスに同情を覚えるが、知らなかったらエイミに嫉妬していただろう。
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