【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「横乗りがいいか? 俺にしっかりとしがみついていてくれ」
 馬に乗せられたシアは、その言葉に従い、ジェイラスの身体に両手を回す。怖くて周囲を見る余裕などなく、彼の胸元に顔を埋めてただ風を感じていた。
 馬から下りた後も、ジェイラスはシアを抱きかかえて王城内を歩く。今度はすれ違う人からの視線に耐えられず、やはり彼の胸元に顔を埋め、顔を隠した。
「本当は、俺の部屋に連れ込みたいところだが、先に殿下に報告する必要がある」
 ジェイラスの言葉は正しい。
 モンクトン商会で雇っていたフランクはヘバーリア国の人間だった。そしてサバドに視察に来ていたランドルフを狙ったのも彼だ。いや、あの暗殺者をモンクトン商会に引き入れたのも彼だ。
 となれば、ランドルフに報告しないわけにはいかない。
 シアを抱きかかえたまま、ジェイラスは片手で扉をノックする。
『入れ』
「ジェイラス・ケンジット。無事、アリシア・ガネルを保護しました」
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