【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 先ほどまでの頭痛も、今では嘘のように引いている。
「ラス、ごめんね」
「シア? 思い出した?」
 アリシアはコクリと頷く。
 ランドルフとクラリッサの結婚パーティーがあった三年前。彼から求婚されたあの日。そして逃げ出した翌日のことがまざまざと思い出される。
 だからといって、シアとして過ごした三年間の記憶が消えるわけでもなかった。
 アリシアは、三年前にコリンナたちと出会い、記憶を失う直前までの記憶を口にした。
「……なるほどな。モンクトン夫人が襲われたのも、馬が暴れたのも、フランクの仕業だろう。不自然すぎる。まあ、これも今後調べていけばはっきりするだろうな。それよりもシア、あのとき、どうして俺から逃げた?
 鋭い紫眼がアリシアを射貫く。
「そ、それは……ごめんなさい……」
 それしか言えない。
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