【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「それは……ラスの両親の話と関係する?」
「する。ランドルフがいなければ、俺は今、生きてはいなかっただろう。だから自分の子にも、心の支えになれるような人と出会ってほしい。だが、その相手はランドルフの子だろう。そういった願いだ。あのときは昂ぶっていたから、いろいろと言葉が足りなかったかもしれない」
 今なら彼の言葉を信じることができる。それはシアだったときの記憶によるもの。彼女は、彼の隣に立つにふさわしい女性になろうと、そう決めたから。
「三年前、気持ちばかりが先走って、何も考えずに求婚したことを後悔した」
 ジェイラスが立ち上がり、机の引き出しから小さな箱を取り出した。
「君と会う約束をしたあの日。本当はこれを渡したかった」
 小さな箱に入っていたのは、紫色の宝石がはめ込まれた指輪。
「アリシア・ガネル。どうか私、ジェイラス・ケンジットと結婚していいただけませんか?」
 真剣な眼差しに訴えられ、目の奥がツンと熱くなる。唇が震え、このまま何か言葉を紡げば、涙も一緒にこぼれてきそうだった。それでもなんとか気持ちを整え「はい」と答えた。
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