【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 彼女の能力は、次世代を担う子どもたちのために使うべきだと考えたボブは、シアに養護院での教師の役割を与えた。
 シアにとっても、養護院での教師の仕事は順調だった。子どもたちの人気も高く、修道女たちからの評判もいい。やがて彼女の教え子は養護院の子どもたちだけでなく、学ぶ意欲があるのに学校に通えない子どもたちにも広がっていった。
 今ではサバド養護院は学校としての認識も広がっている。
 そうやって二か月ほど教師を続けていたシアだが、ある日、体調を崩した。コリンナが慌てて医師を呼び、診察を受けたところ、シアは妊娠三か月であることがわかった。
 もちろん、その事実に驚いたのはシア本人だ。なにより、自身に関する記憶がまったくないのだ。となれば、父親が誰なのかまったくわからない。
 それでも新しく宿った命に罪はない。コリンナや多くの人々の手を借りて、シアは産むことを決心した。
 次第にお腹が大きくなりながらも、彼女は養護院の子どもたちへの教育を続けていた。そしてそれは出産後も続く。
 そうやって記憶を失ったシアが港町サバドに来て三年近くが経ち、息子のヘリオスも二歳になろうとしていた。金色の髪は母親によく似ているが、瞳の色は紫と珍しい。これは顔も名も知らぬ父親から受け継いだものにちがいない。
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