【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ヘリオスはお利口にしていて、シェリーと一緒に遊んでいたよ、という意味だ。
「ねえ、シア。今日は夕飯を食べていくでしょう? あの人も、久しぶりにあなたから話を聞きたいらしいのよ」
 モンクトン家の家族は、こうやってたまにシアを夕食に誘う。もちろんシアが断るようなことはしない。
「ええ、喜んで。リオ、今日はシェリーと一緒にお夕飯よ?」
 身体をかがめ、ヘリオスと同じ目線でそう言うと、彼の紫色の瞳はぱっと輝く。
「シェリー、いっしょ?」
「そうよ、ヘリオス。今日の夕飯はシェリー姉さまと一緒よ」
 ヘリオスよりも五歳年上の彼女は、すっかりお姉さん気分だ。幼い二人のやりとりが微笑ましく、シアもつい口元をゆるめてしまう。
「子どもの成長って早いものですね」
 ヘリオスを見ているとなおさらそう思う。昨日できなかったことが、今日にはできるようになっている。ハイハイしていたと思ったら、いつの間にか一人で立って歩き、今では簡単な言葉を話す。
「そうね。今ではシェリーも、ヘリオス相手にお姉さんぶってるわ」
 コリンナがこそっとシアの耳元でささやいた。シアもシェリーの愛らしい姿に笑みをこぼす。手を繋ぐ子どもたちの姿は、見ていて心が和むものだった。
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