【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「シェリーはお姉さまだから、これくらいは当たり前なのよ」
 腰に両手を当てて胸を張っているシェリーを見たコリンナは、ぷっと吹き出す。
「もう、最近はこればかりなのよ」
 シアは穏やかな笑みを浮かべ、二人に別れを告げた。
 モンクトン家の屋敷を後にし、庭園を抜けようとしたそのとき、ふいに声がかかった。
「シア。待ってくれ」
 ボブが大きな身体を上下に揺らしながら走ってくる。だが、ヘリオスはお腹が空いて不機嫌そうだ。仕方なく息子を抱き上げた。
「ボブ、何かありましたか?」
「あぁ。六日後に王太子殿下を招いて晩餐会を開くのだが、料理に使う香辛料が足りなくて。王都の支店から運んでもらいたいんだ。それから演出に使うための魔石も足りなかった」
 魔石とは魔力が込められた石のこと。魔力を持つ人間はゼロではないが数少ない。たいていは魔石が持つ魔力を使って、灯りにしたり火をつけたりしている。今回は王太子をもてなすことから、魔石の力で光の演出をしようとしていた。
< 64 / 375 >

この作品をシェア

pagetop