【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「やぁ、院長。久しぶりだね。なかなか顔を出せずに申し訳ない」
「こうして足を運んでくださったことに感謝申し上げます。子どもたちも喜びます」
「今日は、王太子殿下の授業見学があるからね」
 ボブが笑顔で答える。
 シアも院長には見学の件を事前に話をしていたが、子どもたちにはまだ伝えていない。
「その……子どもたちは、そういった見学があっても大丈夫でしょうか」
 シアがおずおずと尋ねた。しかしその心配とは裏腹に、院長は満面の笑みを浮かべてゆっくりと頷く。
「はい。子どもたちは心配ありません。ああ見えても、状況を理解できる子たちですから。シア先生がわざわざ養護院で勉強を教えている意味も、よくわかっています。だからその間、自分ができることを精一杯やろうとする子どもたちなのです」
 院長のあたたかな言葉に、シアの緊張も解けていく。
「シア先生、子どもたちよりも緊張しているみたいです」
 コリンナの言葉にも、院長はやわらかな眼差しを向けてきた。
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