【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 シアが黒板に問題を書くと、子どもたちは手元の石盤に石筆を用いて問題を写し、それを解いていく。シアは一人一人の席を見てまわり、石盤に書かれた文字を確認しては、声をかけるのだ。
「私も子どもたちの勉強をみてもいいかな?」
 穏やかな声の主はランドルフであった。どうやら彼も子どもたちが問題を解く様子を身近で見たいようだ。
 だが、そのように言われては、もちろんシアは断れない。
 それに今は二十人ほどいる子どもたちだが、シアが一人でみるよりは、二人でみたほうがもっと親身になって教えることができる。
「は、はい。是非とも」
 シアは反射的にそう答えていた。
 頷いたランドルフは、シアと同じように子どもたちのそばまでやってきて、石盤をのぞき込む。
「ここ、もう一度よく計算してみて」
 やさしく諭すような口調で、子どもに声をかける様子は王太子というよりは教師そのもの。
 身体に変に力が入るくらい緊張していたシアだが、彼のその姿をみて安堵した。
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