【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 今は自分に自信のない子も、少しずつ自信が持てるようになってくれるといい。それがシアのささやかな願いでもある。それは、シア自身にとっても思うところなのだ。
 剣術の授業は、養護院の裏側に広がる庭で行う。木刀を上下に振るところから始め、わら人形を敵に見立て木刀を向ける。最後に、一対一で剣を交わらせる。
「せっかくですから、彼らも指導に加わってもいいだろうか?」
 子どもたちがいっせいに木刀を振り始めたとき、ランドルフがそう言い出した。彼らとはランドルフに仕えている騎士たち。つまり騎士らが子どもたちに指導すると。そんな機会は滅多にないだろう。
「あ、はい。お願いします。子どもたちも喜ぶと思います」
 子どもたちからすれば騎士は憧れの対象。そんな彼らから直接指導してもらえるなど、光栄なことだ。
 ランドルフが騎士らに目配せすれば、彼らも子どもたちのそばへと足を向ける。
「君は小柄だから、足はこのほうがいいだろう」
「脇をしっかりとしめなさい」
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