【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 だが、シアは冷静だった。相手が力を込めて押し込もうとした瞬間、木刀を滑らせ、横に流す。
「……くっ」
 少しだけバランスを崩したジェイラスだったが、すぐに踏みとどまる。
(やっぱり……読まれていた……)
「どうした? もう、終わりか?」
 シアを挑発するような言葉だ。
「もっと打ってこい。子どもたちへの模範でもある」
 頭に血が昇りつつあったが、その言葉で冷静になった。これは模擬戦でありながらも、子どもたちへの指導の一つなのだ。
 軽やかに一歩踏み出し、バシッと木刀をぶつける。それも続けざまに。
 バシッ、バシッ、バシッ――。
 どこに打ち込んでも、ジェイラスは止めてくる。
「では、こちらからも攻める」
 彼が大きく振りかぶったところ、シアは両手で木刀を支えた。
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