呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「唾液だよ。エルの唾液に魔力が含まれてないか確認してみたら、予想通り含まれていなかった」
「だ、唾液……」
「魔力って言うのはね、アカデミーでも習ったと思うけど、体液の中に多く含まれて体内に内蔵されているんだ。特に血液の中にね。でもエルに血を流して貰うわけにはいかないから」
「だから……」
「キスしちゃった」
エヘっ、と笑って許されるとでも……! と言いたいけれど、許してしまうわ。悲しいことに。
そこにエスティリオの気持ちが全くなかったことに、安堵しているのかいないのか、複雑なところだ。
「ラシェルの唾液に魔力は全く含まれていなかったというのはつまり、エネルギー源は別にあるということ。俺の推測は限りなく正しいと確証を得られたってわけ。こんなに遅くなってごめん。一人で悩んで、辛かったよね」
「もう謝らないで。エスティリオに私が本当は誰なのか、知って貰えただけで十分だから」
鼻の奥がツンとする。
「ずっと……辛かったの。好きだと言われる度に辛かった。エルに言っているのかラシェルに言っているのか分からなくて……」
「さっきも言ったけど、俺は最初からエルが誰なのか知っていたよ。だから俺がこれまで言ってきた言葉も行動も全て、貴女自身に向けたもの」
「それって……」
「あぁーーっ! ほんっとイラつくなぁ。きちんと名前を呼んで好きだって言いたいのに」
頭を掻きむしりながら、エスティリオが叫んだ。
今好きって……。好きって言われた??
動揺するラシェルをよそに、エスティリオはケロッとしている。