呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
前魔塔主を見習って叱るべきかと悩んだが、アカデミーにいたあの頃を思い出すと突っぱねられない。
ラシェルは丁寧に根気よく、何も知らないエスティリオに教えてくれた。素性を知らなかったとはいえ、皇女より身分の高い人などそうそういないのだし、きっと礼の一つもろくに出来ないエスティリオの身分が如何程かなんて分かっていただろうに。
それに、もしかしたら本当に妹になるかもしれなし……。
「いいよ。どの程度ならできる? 例えばあそこのベンチを浮かせるくらいは出来るでしょ?」
リリアンヌの魔力量はそこまで少ないわけではない。流石に多くの魔力を必要とする転移魔法や治癒魔法は無理そうだが、基本の浮遊魔法くらいなら出来るだろうと尋ねてみた。
「ええ、そのくらいなら!」
自信満々に答えただけあって、リリアンヌは呪文を詠唱し、近くにあったベンチを浮かせてみせた。
「いいね。なら次は、そこの水を先ずはこうして宙に浮かせる」
エスティリオは目の前にある噴水の水の一部を、宙に浮かせてみせた。
「そうしたら今度は、水を細かく分けて雨のように優しく降らせる」
霧雨のようになった水がバラの上に降り注ぐと、リリアンヌが「わぁ」と歓声を上げた。
液体は個体を浮かせるよりも難しい。更に、自分の望む量だけを取り分けて浮かせ、その上雨粒ほどの大きさにとなると、難易度は格段に上がる。相手の力量を推し量るのに、調度良い方法なのだ。
「もし出来るのなら、霧状にまで細かくしてもいいよ」
「分かりました。やってみます!」
再び得意げに呪文を詠唱すると、噴水の水がそっくりそのまま宙に浮いた。
「いや……ちょっと待っ……!!」
嫌な予感は的中した。自分が浮かせた水の量に驚いたリリアンヌが、噴水に水を一気に降ろしたのだ。