呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「『真実薬』。説明しなくても分かるよね? ちなみにこの薬の仕上げに入れたのはマルガロンだよ」
この魔法薬を飲んで嘘をつけば、服用者は嘘をついた代償を払わなければならない。
その代償とは、最後の工程で入れるもので決まる。腹痛であったり発疹であったり様々だ。
そしてエスティリオがこの薬を作る際選んだのはマルガロン。
代償は『死』だ。
「さあどうする」
ここまで大勢の者が見守る中、この薬に抗う為の魔法を自身にかけるのは不可能だ。証人があまりに多すぎる。
ブリアンは思考を巡らせているのか、薬を見つめたまま動かない。
「ああ、そうだ。どうせなら宮廷魔道士全員に飲ませて宣言してもらおうか。『私は誰かに呪いをかけたことなど、ただの一度もありません』ってね。別に怖がることなんてないよ。やましい事がないなら何も起こらないんだから」
どうせなら、宮廷の魔道士全員の罪を問うてもいい。
権力者の集う場所が、どれ程仄暗いものなのか、見てみるのも悪くない。
「陛下……どうかお助けを」
逃げ切れないと悟ったブリアンが、声を絞り出し懇願した。
「違うのです、ベクレル様! 僕は陛下に命令されて仕方なく……!!」
「ええい、このたわけが!! 貴様、大衆の前でよくもそのような嘘を!」
「命だけはお助けを」
「予に出来損ないの娘など、いるわけがなかろう! あの子は死んだ! 死んだんだ!!」
確定、だね。
必死に釈明をし命乞いをするブリアンに、影が忍びよったことに誰も気が付かない。
騒然とする会場内。何食わぬ顔でエスティリオは、魔塔主としての職務を遂行する。
これでもう安心。と一人胸を撫で下ろしていると、女性の泣き声が聞こえてきた。
「エル……」
「あ……わっ、私……ごめんなさい……」
父親の暴言に、ラシェルは堪えきれなくなってしまったのだろう。無理もない。存在を否定され、死んだと喚かれてしまっては。
この状況で、たった一人だけ涙を流す女性に注目が集まった。当然、皇帝も。
「お前……お前はまさか……」