呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「蠱毒の効力は術者が死ぬまで続く。これは魔道士の常識」
蠱毒という呪いはラシェルにも説明した通り、術者を殺せば解ける。
なぜなら呪われた者の体内にいる魔毒虫は、一見するとひとつの生命体のようにみえるが、実際には少し違う。
術者と魔毒虫は繋がっており、術者から貰う微量な魔力で生きているのだ。
だから魔毒虫が生き続ける為の魔力源が絶たれると死んで、呪いが解けてしまうという大きな欠点を抱えるが、その欠点さえ除けば解く方法は皆無という利点もある。
他の多くの呪術は呪いを解くための方法が何かしら存在する中、蠱毒は術者を殺す以外に全く方法が存在しない。そのため最強の呪いと、人々から恐れられている。
「そんなことは知っている! 僕は死んでいない! 死んでいないのに何故?!」
「なんでかってそりゃあ、魔力の供給が切れたからでしょ。殺すしかないっていうのは誤認だよ。君、バカなの?」
「魔力の供給が、切れた……?」
ブリアンの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
自分の体をぺたぺたと触りながら、「ない、ない」と狂ったように叫びだした。
「ない! 僕の魔力が……僕の魔力がない!!」
「禁術を使った君に、魔塔主として処罰しただけさ」
残念だったね、とブリアンの肩を叩いた。
「禁忌を犯したものから魔力を奪う。みんな魔塔主の特権、忘れてない?」
魔塔主のみが引き継ぐことの出来る秘術。
この世で他人の魔力を奪うことが出来る能力を持つのは、エスティリオただ一人。
前魔塔主のライエはまだ存命だが、この秘術を引き継いだ後はしきたりにより、この術のかけ方に関する記憶を消されている。
ブリアンの罪が確定したその瞬間、エスティリオはその体から、魔力をひとつ残らず奪い取った。
だから皇帝がラシェルの正体を言っても、既に死んだ魔毒虫は動かなかったのだ。