呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

5. ラシェルの回想

 ラシェルは先日洗った貝殻を、今度は細かく粉砕してみようと道具を準備している。
 エスティリオが農場長に話をつけたらしく、貝殻肥料作りを優先して良いと言われたため、他の人は畑に出ている中、ラシェルは作業小屋で仕事をしている。
 貝殻は洗った後、数日自然乾燥させたものと焼いたものの2種類を用意してみた。
 どのくらい細かくしたら良いのかも分からないので、試行錯誤の連続だ。
 とりあえず、ハンマーで叩いて砕いてみようかしらと袋を探す。散らばらないように袋に入れた方がいいし、目の粗い麻袋ではなく皮袋がいいかもしれない。

 見つけた皮袋に貝殻を入れ、更に下に布を何枚か敷いてガンガンとハンマーで叩いてみた。するとカラカラに乾燥した貝は、意外とすぐに細かくなっている。
 細さの違うものを何種類か用意してみようと、ひたすらハンマーで打ち付けていると、不意に小屋の扉が開いた。

「エス……魔塔主様、申し訳ありません。騒がしかったでしょうか」

 心の中では『魔塔主様』ではなく、昔のように『エスティリオ』と読んでいるので、つい口から出そうになってしまった。
 慌てて言い直したことには気が付かなかったらしく、「順調?」と言って近付いてきた。
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