呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「はい、今のところは。と言っても、まだ作りはじめたばかりですが。とりあえず自然乾燥したものと焼いたものの2パターンと、それから粉の細さの違うものもそれぞれ何パターンか用意しようと思っています」
「大変そうだね。手伝うよ」
「え?」
「ハンマーとその皮袋、もうひとつないの?」
「あり……ますが……。いえっ、私ひとりで出来ますから」
まさかこんな地道な作業をやらせる訳にいかないと慌てるラシェルに、エスティリオは袖まくりしている。
「ストレス発散になりそうだからやらせてよ」
「あ……そうですか。でしたらこちらをお使いください」
自分が使っていた方の道具を渡して、ラシェルはもう一組、道具を用意するため棚を探った。
エスティリオはラシェルが先程していたように、袋の上からハンマーで貝殻を叩き砕いている。
ストレス発散……。やっぱり色々と大変よね。就任してまだ半年も経っていないんだもの。
アカデミーを卒業し、魔塔主候補だったころから前任の魔塔主に付いて修行していたとはいえ、覚えることも山ほどあるだろう。
エスティリオの顔は少しやつれ、目の下にはうっすらとクマができている。
本当に、何故こうも頻繁に農場へ来るのか不思議だわ。
アルベラの言う通り、若くもなく美人でもなく、何の社会的地位もない『エル』と言う人間に会う為に来ているとは流石に思えない。
ハンマーと皮袋を棚から取りだしたラシェルは、エスティリオの隣に並んで貝殻を砕き始めた。