呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「ははっ、あれは多分平民の出じゃないか? 座学やダンス、マナーの授業はてんでダメ。魔法の授業以外はなんにも分かってないって噂だぜ 」
「魔力以外の全ては兼ね備えている、どこかの誰かさんとは真逆だな!」
「ああ、本当だよな。欠陥品じゃなきゃいい女なのにさ。せめて微量でもあれば良かったんだが、1と0とじゃ大違いだ。魔力さえあれば、交際を申し込みたいくらいなんだが」
「おいおいそれ、マジで言ってんのか? 確かに顔は良いが暇さえあればいつも土いじりして、どこの農民だっつぅの。どうせ魔法を使う科目を免除されているから、点数稼ぎにやってる……あっ……」
会話をしていた男性二人は、今まさに薬草畑で土いじりをしていたラシェルの存在に気がつくと、マズったとばかりに顔を歪めた。
「ごきげんよう。マエル様、ステファン様」
「あー、どうも、ラシェルさん。薬草の調子はどうですか」
「ええ、試している栽培方法が良かったようで、とてもいい具合です。今度の魔法薬学で先生が使いたいと仰っていたので良かったです」
「へっ……へぇー」
「この薬草、毎回授業で使う度に高山に登って取りに行かなければならず、用意するのが大変だったそうで。皆さんの御勉学のお役に、少しでも貢献出来る事を嬉しく思いますわ」
にっこりと満面の笑みを浮かべてみせたラシェルに、2人は「そうですか」としどろもどろになっている。
「それでは私、点数稼ぎに忙しいので失礼致しますね」
畑作業へと戻っていくラシェルの背に、「やな女」と舌打ちする音が聞こえてきた。