呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
皇宮で存在しない者として扱われていたラシェルにとって、嫌味の一つや二つを言って返される事すら、嬉しいと思うくらいだ。
話しかけても使用人達からは完全に無視され、話し相手が母親しかいなかったあの頃に比べればずっといい。
抜いた雑草をかき集めて、今度はカモミールに霧吹きでミルクを吹きかける。
シュッシュッとひたすら霧吹きをするラシェルは、少年が花を見ていたことに気が付かなかった。ぶつかりそうになったところで「あら、ごめんなさい」と声を掛けた。
「カモミール、満開で綺麗でしょう?」
頷き返してきた少年に、ラシェルは首を傾げた。
「鐘がさっき鳴っていたわ。授業に遅れてしまうんじゃない?」
「……」
「教室の場所が分からないなら教えてあげましょうか?」
新入生だとしても入学してからそれなりに経つのだが、校内は広い。特別実習などがあると、普段使う場所から遠かったりすることもある。