呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「一体なにを……きゃあっ!」
ミルクが勢いよくボトルから空中へと出てきたかと思えば、今度は細かい雫に分かれてボタボタとカモミールの上に、雨のように降り注いだ。
「あー……」
「どう? これでいいでしょ?」
ラシェルの口からは情けない声が出たが、少年は褒めて欲しいのか自信ありげな様子だ。
「あ……ありがとう。でもね、出来ればお花の部分にはかけないで、アブラムシのいる所にだけかけて欲しかったわ。ほら、上から撒いただけでは茎や葉の裏まではミルクがかかってないでしょ?」
もう一度カモミールをしならせて内側を見せると、「本当だ」としょげている。
うふふ、今度は叱られた子犬みたい。
少年にシッポと耳がついていたらきっと、力なく垂れ下がっていただろう。
「いいのよ、気にしないで。お花についたミルクは水で洗い流せばいいもの」
ラシェルの言葉に少年はピクんと反応すると、再び呪文を詠唱し始めた。
「今度は何を……??!」
魔法を使う科目を取っていないラシェルには、少年が唱えた呪文がどんな効果をもたらすものなのか、全く予測がつかない。
さっき唱えていた呪文と一緒だったかしら。と考えているうちに、今度は桶にたっぷりと汲んでおいた水が宙に浮かんだ。
先程のように撒かれるのかと思いきや、びゅうっと突風が吹いて、ラシェルは反射的に目を閉じた。