呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
 2人が出会ってからすぐに、お互いに呼び捨て合うほどの仲になり、エスティリオはラシェルに付いて回った。
 弟のような存在。というよりかは忠犬みたいで、他の生徒がラシェルの悪口を言おうものなら威嚇するので、なだめなければならないほどだった。
 そうやって1年が過ぎ、いよいよラシェルが卒業を迎えた日。
 アカデミーから去る前に、別れの挨拶をしようとエスティリオを探すと、案の定、2人が初めて出会った薬草畑に彼はいた。
 皇宮へ帰れば、また居ない存在として過ごさなければならない。皇帝が魔力無しの娘を恥続ける限り、それは続く。
 もうエスティリオと会うことはないだろう。

「エスティリオ」
「ラシェル、卒業おめでとう」
「ありがとう」
「魔力が必要な科目以外は全部トップクラス?」
「ふふっ、そうよ。凄いでしょ?」
「なら俺は、魔力が必要な科目は全て一番を取るよ。そうしたら、ラシェルと俺で足りないものはなくなるだろう?」
「ええ……そうね。エスティリオはエスティリオのできる範囲で」
「ラシェルはラシェルのできる範囲で」

 クスクスと互いに笑い合うと、エスティリオはラシェルの目をじっと見てきた。

「ラシェル、俺の名前はエスティリオ。エスティリオだから」
「ええ……そうね。エスティリオよね?」

 必死に何かを訴えかけるようなその眼差しに、ラシェルは閃いた。エスティリオが何を言わんとしているのか。
 
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