呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
謝るエスティリオにラシェルは気を悪くして怒る風でも、ましてや怖がる様子もなく話しかけてきた。
『私は沢山持って生まれたなら沢山あるなりに、無いなら無いなりに生きていけばいいだけだと思うけど?』
魔力無しの人間は馬鹿にされ見下される。時には人間扱いされない事だってある。
だからこの人も当然、自分と同じように孤独で、自分自身を恨んで生きている。魔力を持て余しているエスティリオのような存在は、さぞ疎ましいだろうと思ったのに。
『私はあなたが沢山持って生まれたのなら、沢山持って生まれたなりに生きていけばいいと思う。私はその代わり、あなたが出来ないことをやるから』
聞く人が聞けば、魔力無しのくせに何を偉そうなことを言っているんだと思うかもしれない。
けれどエスティリオは、ラシェルのその姿勢に心打たれた。
どうせ自分はと腐ることなく、自分の出来る範囲でやれることを手の届く範囲で努力する。
事実ラシェルは、魔力を持っていないこと以外においては完璧だった。
勉強だけでは無い。上流階級におけるマナーや嗜み、所作や容姿も非の打ち所がない人なのに、父親から疎まれているのだと話していた。