呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「いらっしゃい、エル」
部屋の奥にあるデスクには山積みの書類。その影からひょこっと顔を覗かせたエスティリオはラシェルの姿を認めると、ぱあっと笑顔を咲かせた。
私、昔からこの顔に弱いのよね……。
まるで尻尾をフリフリしながら近付いてくる犬のように、エスティリオはラシェルを歓迎してくれる。つい顔が緩んでしまいそうになるが、奥歯に力を入れて堪えた。
「お忙しいところ、時間を作って頂きありがとうございます」
「そんな固い挨拶しないでよ。エルならいつでも大歓迎。お茶入れてくれる?」
「かしこまりました。ただいま準備して参ります」
エスティリオに声を掛けられると、すぐ側にいた侍従がお茶の準備をしに出ていってしまった。
「お茶だなんて……」
「いーのいーの。俺が休みたいだけだから。エルは俺のティータイムに付き合って貰うっていうていで」
座ってと促されて、窓際にあるテーブル席の椅子を引いてくれる。
お客として来た訳でもないのにおもてなしされてしまい戸惑うラシェルに、エスティリオは「早く早く」と促してきた。大人しく座ると、エスティリオも向かい側に座って頬杖をついている。
「ラシェルから俺のところに来てくれるなんて初めてだね」
「そう……ですね」
それでこんなに嬉しそうにしてくれているのね。と納得する。
好きな人の方から訪ねてこられたら、確かに嬉しいだろう。
そうこうしている内に、ティーセットを持ってきた侍従によって、手早くお茶が用意されいく。とりあえずティーカップに口をつけてひと口頂くと、話を切り出した。