呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

 エスティリオを甘く見た考えだったと思い知らされて恥ずかしい。
 目の前にいる人は、いつもラシェルの後を追いかけてきたあの男の子ではない。自分で考え判断し決断のできる、立派な大人の男性になったのだ。
 己を恥じる一方で、嬉しい気持ちも湧き上がってくる。
 これまでの努力を誰かに認めて貰えた。それも、言葉だけではなくはっきりとわかる形で。 

「ありがとうございます。魔塔主様のご期待に添えるよう、精一杯務めさせて頂きます」
「うん、エルの活躍を楽しみにしてるよ。それから少しだけ私情を挟んだって言うのは、安全面でってことかな。これから研究のために外出する時は、魔塔騎士を連れて行って欲しい。この前みたいなことがまた起こるかと思うと、俺も仕事に集中出来なくなるから」

 要人の警護名目でエルに騎士を付けようという考えらしい。下っ端の官吏には大袈裟過ぎるが、使用人という立場よりはまだ釣り合いが取れる。
 
「そういう事でしたか。お言葉に甘えさせて頂きます」
「納得してもらえて良かった」
「お暇する前にもう一つだけ」
「え? もう行くの?」
「はい」 

 エスティリオにあからさまに寂しそうな顔をされて、ラシェルは困って小さく笑い返した。
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