呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

10. 魔法薬部

 後日、今後の計画案をしたためた書類を提出しに魔法薬部を訪れたラシェルは、部屋の中へと案内された。
 魔法薬の研究が行われているこの部署では、棚にずらりと魔法薬を作るための素材が置かれ、独特な薬品臭や腐敗臭が鼻を突いてくる。
 テーブルへと目を向けると、置かれた容器の中ではポコポコと不気味に泡立つ液体や、蒸気を出している粉などが入っているのが見えた。

「危ないので、くれぐれも触れないようにお願いしますよ」
「はい」
「ブランシャール様、この前新しく出来た薬草栽培研究官ってやつに就任された……えーと……?」
「エルです」
「そうそう、エルさんって方がお見えです」

 案内してくれた男性はエルと同い年くらいだったが、ブランシャール様と呼ばれてこちらに顔を向けてきたのはずっと年上の男性だった。恐らく50代くらいだろうか。口元にひげを蓄え、太い眉毛の下からは鋭い眼光が覗いている。

「初めまして。先日薬草栽培研究官に就任しましたエルと申します。宜しくお願い致します」
「魔法薬部長官のブランシャールだ。お前の上官ってわけだが、直接の上官は、魔法薬素材について取りまとめているコイツの方になる」

 紹介されると、これまで案内してくれていた男性が「ユベールです」と言って笑った。
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