呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「マルガロンの栽培に成功の兆しがみえてきた。そうだろう?」
「ええ、まだ栽培を始めて半年ほどしか経ってないので、あくまで兆しがあるだけですが」
「早速見せてくれ」
「かしこまりました。こちらへ」
今度は皆を、マルガロンの研究に使っている池まで案内した。
池の中を覗くと、無数のマルガロンが生えているのが見える。
「このマルガロンは半年前にこの池へ植え付けました」
「報告書には川に棲むエビと一緒に育てるといいとあったが?」
「エビですか?」
今度は魔法薬素材について取りまとめているユベールが、池の中を凝視しながら言った。
「星屑エビという、夜に発光するエビです。このエビはどうやらマルガロンと共生関係にあるようで、エビはマルガロンに付着したカビやダニをたべ、マルガロンはエビの排泄物から栄養を貰っているようなんです」
「もしかして、マルガロンを採取して水槽に入れてもすぐに枯れるのは、付着しているカビやダニのせいですか?」
「その通りです。星屑エビはマルガロンのお掃除をしてくれているというわけですね」
水温や深さ等を野生の状態に近づけてもダメ。こうなったら、川の生態系を模倣してみようと過去の生態調査の記録を見直していると、必ずこのエビが近くにいることに気が付いた。
真夜中、エスティリオと研究所で会ったあの日、星屑エビを捕まえに行ったのはそんな理由からだった。
「このまま栽培を続けて、行く行くは繁殖まで出来るようになればと思っています」
「もし成功したら、薬草採取係が泣いて喜ぶぞ」
ほかの研究についても順に説明し終えると、ブランシャール長官は「よくやった」と肩を叩いてきた。
「正直、まあなんだ。あんまり期待してなかったんだ。ほら、お前さん欠陥品だろ? 甘く見てたっつうか、侮っていたというか……。皆もそうだろう?」
ブランシャールが魔道士達に聞くと、気まずそうに頷き返している。
「俺も、あん時はバカにして悪かったな」
「ゲール様……」
「私もです。とんでもない人を魔塔主様に押し付けられたと思いましたが、私が間違っていたようです」
「ユベール様……。魔塔主様は私のような者を信頼し、拾い上げて下さいました。このようなチャンスを下さったベクレル様には大変感謝しておりますわ」
「うんうん、そうだな! ブランシャール長官、今夜はこいつ連れて飯食いに行こーぜ!!」
「おお、いいな。どうだエル、来るか?」
食事に……?
ただ一緒に行こうと誘われただけで、こんなに嬉しくなるなんて。仲間として受け入れて貰えたような、そんな気分。
「ええ、もちろんです」
ラシェルは二つ返事で了承した。