呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「やめて、お願い! 離して!!」
「大丈夫、大丈夫だから!」

 何が大丈夫なのか。
 ラシェルであることが、カレバメリア帝国の皇女であることがバレてしまったら、この命は無いのに……!!
 今にも体の中の魔毒蟲が目覚め、内側から喰い破られる恐怖に体が震え上がる。

「大丈夫なんかじゃないわ! 私っ……私、死んでしまうのよ!!」

 まだやりたいことが沢山ある。
 やっと仕事仲間として認めてもらえて、これからなのに。
 身分も姿も、名さえも捨てて、ここまでやってきたのに――!!

 泣きじゃくるラシェルにエスティリオはもう一度、「大丈夫だから」と耳元で囁いた。

「俺を信じて」
「エス……ティリオ……」
「絶対に、エルを死なせたりしないから」

 エスティリオの声には、人を落ち着かせる効果のある魔法でもかかっているのか。
 段々と、冷静さを取り戻してくる。

 ラシェルがもう抵抗しなくなると、エスティリオは腕の力を抜いて、向かい合うようにそっと身体を寄せた。

「ちゃんと説明するから、場所を変えよう」
 
 こくんと小さく頷き返すと、またあの体が浮くような奇妙な感覚がした。
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