呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
エスティリオの私室。
ラシェルが目を開けると、場所が移動していた。
ソファに座らされ、すぐ隣にエスティリオも座った。
「エスティリオ……私……」
「待って」
喋ろうとするラシェルの唇に、エスティリオの指がピタッと当てられた。
「先に俺に謝らせて。まず一つ目は、馬車の中でエルを傷付けることを言ってごめん」
「それは私が先に、エスティリオを突き放すようなことを言ってしまったのもあるから」
「いや、カッとなったからって卑劣な物言いをして最低だった。本当にごめん」
しゅんと項垂れてしまった。
本当にリオそっくりだ。
「それからもうひとつ」と顔を上げたエスティリオ。上目遣いに見つめてくる。
「勝手にキスしたりして、嫌だったよね」
「あ……えっと……それは」
思い出すと顔が熱くなってくる。
でもこれだけは言っておかなければ。
「嫌ではなかったというか……」
「え、嫌じゃなかった?」
もうっ、なんでこんなに嬉しそうな反応をするのかしら。言いづらくなってしまう。
「エルという人の事を好きだからしたのかと思ったら、なんだか複雑な気持ちになって……。その……何でまた突然キスなんて……」
そうだわ、と思い出す。
「エスティリオは私が誰なのか知っているって……一体いつからなの? それよりもなぜ私、死なないのかしら」
「うんうん、今説明してあげるから」
再び興奮してきてしまったラシェルの手を、エスティリオが宥めるように握ってきた。
「まず皇帝にかけられたっていうその呪い。蠱毒だね? それとも呪いの種類は知らなかった?」
「いえ、知っていたわ」
「もしかして、知っていた上で飲まされたの?」
「なんの魔法薬なのかは飲んだ後に知ったのよ。飲めば皇宮から生きて出ることを許してくれると言われて……」
あら?
エスティリオに、お父様に呪いをかけられたのだと言ったかしら。
呪われていることはもしかしたら、エスティリオ程の実力者なら分かるのかもしれないが、誰にかけられたかまで分かるものなのだろうか。
「呪いのこともそうだけど……誰にかけられたかまで何故知っているの?」
「あはは……まあちょっとね。それで話を続けるよ。蠱毒というのは魔毒蟲っていうのを相手に飲ませて呪う方法で、普通はその蟲が目を覚ます条件を付与して魔法薬を作るんだ。エルは魔法薬を飲んだ後、なんて言われたの?」
「私が誰なのか見破られることがあれば、腹の中の蟲に喰われると……。エスティリオにもう見破られてしまっているのに、何故発動しないのかしら?」
それともあの魔法薬は失敗作だった?
一瞬、そんな考えが浮かんだが、皇帝が見ている前で宮廷魔道士がそんな失敗を犯すハズはないと否定した。