【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「クリストフ殿下は『俺は忙しいんだ。だからお前に会いにくるのをありがたいと思え』と言っていたので」

「ローズマリー、もう彼の言葉やバルガルド王国で言われたことはすべて忘れていいんだよ」

「忘れていいのですか?」

「ああ、彼らはローズマリーにとってよくないことばかり言っていただろう?」


ローズマリーは顎に手を当てて考えていた。


「そういえばそうでした!」


バルガルド王国でいい思い出などほとんどないではないか。
リオネルの言う通り、さっさと忘れてしまう方がいいだろうと気持ちを切り替える。

ローズマリーが頷きつつ納得していると、リオネルは買い物に行こうと誘ってくれた。
オパールをはじめて治療した日、城の中や中庭の美しい花々を見せてくれた。
鮮やかな花たちはローズマリーの目を楽しませてくれたのだが……。


「この花の蜜はとても甘くて美味しいです」

「……!?」

「こちらの花の蜜は量が多いですが少し苦いです。おすすめしませんが……どうしても喉が渇いた時になら飲んでもいいかもしれません」
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