【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「この草は苦いですが食べられます!」
「…………ん?」
「この草はとても美味しいですが、食べすぎるとお腹が痛くなります。あまりおすすめしません」
「えっと……」
戸惑うリオネルは人差し指で頬をかいている。
だが、ここはローズマリーの出番だと彼の手を握って力説する。
「リオネル殿下、大丈夫です! 花や草を食べるのは恥ずかしいことではありませんから」
「あー…………それはどういう意味かな?」
「リオネル殿下も食べられる草や花が知りたいのかと思いまして。ですが食べてみるのが恥ずかしいのでしょう?」
「……え?」
「頬が赤くなってました。恥ずかしい時に頬は赤くなります。本に書いてありました」
二人のやりとりを見ていた侍女や護衛たちはあんぐりと口を開けた。
そしてローズマリーがどうしてこのような考え方になったのか考えるも、まったくわからない。
リオネルもまさかローズマリーの笑顔を見て照れていたことを、そのように捉えられるとは思っていなかった。
ローズマリーはリオネルが花の蜜を吸い、草を食べてみたいけど恥ずかしくてできないのだと考えていることがわかる。