【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「アハハッ……!」

「どうかしましたか?」


腹を抱えて笑い出したリオネルを見たローズマリーは首を捻る。
またおかしなことをしてしまったのだろうかと考えるが、答えは出ない。


「本当に君は……なんて面白い女性なんだ」

「面白い? そのように言われたのは初めてです」

「僕はローズマリーのことをとても魅力的な女性だと思っているよ」

「そうなのでしょうか」


リオネルはローズマリーを褒めてくれているのだろうが、どう反応を返していいかはわからない。
今まで否定ばかりされてきたせいか、なんでもやることや言うことを肯定してくれるリオネルに戸惑ってばかりだ。
だけど無意識に己を縛り押し付けていたローズマリーにとっては自分を受け入れてくれるリオネルの存在がありがたいと思える。


「わたしはリオネル殿下はとても優しくて親切な人だと思っています」

「そう思ってもらえたのなら光栄だよ、ローズマリー」


リオネルはいつも機嫌がよさそうに笑っている。
それに彼はローズマリーに食べたことがない美味しい食べ物をくれる。

(わたしもリオネル殿下の気持ちに応えなければなりませんね!)

ローズマリーも気合いを入れるように胸を叩く。


「なのでわたしも、がんばって食べられる草の味を説明します!」

「…………草?」

「わたしは花や草にここまで育ててもらいましたから」


孤児院の時も箱詰めされた時もローズマリーの命は植物に繋いでもらったと言っても過言ではない。
気合い十分なローズマリーを見て、リオネルは優しく微笑む。
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