【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
すくすく大きくなっているのに、まだベッドで眠ったままだ。
髪もかなり伸びてきたので、夢の中で見たオパールの姿と同じように邪魔にならないように三つ編みをしていた。
アイビーもそんな姿をいつも嬉しそうにして見ている。


「オパールちゃん、早く一緒に遊びましょうね。アイビーくんとここで待ってますから」


ローズマリーはアイビーにも魔法を使おうとするが、今はオパールのためだけに魔法を使ってほしいと言われてしまう。
今は元気だから大丈夫だと言っているが、アイビーのことが心配になってしまう。
毎夜、彼は夢の中で大人顔負けの話術でペラペラと色々なことを話してくれる。
今では片言の言葉でオパールのことを教えてくれた頃が懐かしい。


『もうすぐオパールが目覚めるよ! ローズマリーのおかげだ。それからボクはしばらく魔法は大丈夫』

「ですが……」

『もう十分、ローズマリーから元気をもらったからね! それにオパールのために力を使って欲しいんだ』

「…………」

『大きくなりすぎたらオパールに怒られちゃうから』

「わかりました」


もしかしたらローズマリーの負担を減らすためかもしれない。
ローズマリーは夢の中の花畑で元気そうに走り回るアイビーを眺めていた。
目が合うとローズマリーの元に飛び込んでくるようにして抱きついてくる。
アイビーを抱きしめながら頭を撫でていると彼を守ってあげたいと強く思う。
小さな体を抱きしめていると湧き上がってくる愛おしいという気持ち。

(これは本で読みました。母性本能です……!)

三歳くらいの見た目で彼の動きを見ていると可愛らしくて胸がきゅんとする。
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