【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
もしここにオパールが加わったら可愛いが二倍になるのだろう。
言葉は大人びているのに、やっていることは子どもと同じだ。
チグハグ感は否めないが、そもそも人間の形を模しているだけで千年生きる魔法樹に、こちらの感覚を当てはめるだけ無駄だと思っていた。
それでも彼らがいつまで可愛らしい子どもの姿でいてくれるのか気になって問いかける。
「アイビーくんとオパールちゃんは、今後どう成長していくのでしょうか?」
『樹の成長はゆっくりだよ。少なくともローズマリーが死ぬまでは子どものままでいるよ!』
「なるほど……!」
アイビーによれば、力の強い魔法樹ほど育ちきるまで聖女の力が必要不可欠だそう。
だからと聖女がおらず生まれたオパールは眠り続けて、聖女が現れるのをずっとずっと待っていたそうだ。
アイビーはクロムを通じてローズマリーがいることはわかっていたらしい。
魔法樹同士の不思議な繋がりが気になるところだ。
だがバルガルド王国に置いて行ったしまったクロムのことが気がかりで、ローズマリーが顔を伏せて彼のことを考えていると……。
『ローズマリー、大丈夫。ボクはクロムの記憶をわかるけど彼はローズマリーのおかげで最後はとても幸せだったって思っているよ』
「本当ですか?」
『うん、本当だよ。ボクたちは悪意に弱いから……そういう人たちのそばにいると力が弱まっちゃうんだ』