【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
しかし彼女も〝聖女〟だと紹介されたローズマリーは首を傾げだ。

ミシュリーヌからは癒しの力も植物を元気にする力もないとローズマリーにはわかってしまったからだ。
けれどミシュリーヌの父親であるルレシティ公爵は『ミシュリーヌは癒しの力を持っている。今日から聖女としてよろしく頼む』と言った。
まだ子どもで貴族をどういうものか知らないローズマリーは口に出してしまったのだ。

『それはおかしいです。だってミシュリーヌ様は癒しの力も植物を元気にする力も持っていないですよね?』

その時のルレシティ公爵とミシュリーヌ、バルガルド国王の険しい顔を今でもよく覚えている。
ローズマリーは決して触れてはいけないものに触れてしまったらしい。

バルガルド国王はローズマリーに言い聞かせるようにこう言った。
『ミシュリーヌは我が国の聖女だ』
この国で一番偉いバルガルド国王がそう言うのならと、ローズマリーは頷くしかなかった。

どうして嘘をつくのかローズマリーにはわからない。
教会の世話人たちもそのことについては触れていけないとキツく言われるようになってしまったため黙っていた。
余計なことに巻き込まれないように強かに生きる、それは孤児院でも学んできたことだ。
しかしローズマリーはもう巻き込まれた後だったのだ。

その日からルレシティ公爵はわかりやすいくらいにローズマリーを敵視するようになる。
警戒しているのだろうが嫌がらせをして、悪い噂を流してローズマリーを孤立させるように追い詰めていく。
恐らくミシュリーヌが本当は聖女ではないとバレないようにするためでもあるのだろう。

(なんてめんどくさい人たちなのでしょうか……)
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