【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーがそう言って二人の頭を優しく撫でた時だった。


「ローズマリー、今日もとても美しいね。まるで女神のようだ」

「リオネル殿下……!」

「女神というのは比喩で、君が美しくて可愛らしいということを伝えたいだけだよ」

「理解しました」


ローズマリーが勘違いしそうになると、リオネルは先回りするように言い直す。
どうやら公務を終えたリオネルがローズマリーの元へやってきたようだ。
そっと手を掬うとスムーズに手の甲にキスを落とす。

するとアイビーがローズマリーから離れてリオネルに手を伸ばした。


「アイビー、どうかしたのかい?」


手を伸ばしてその場でピョンピョン跳ねるアイビーに、リオネルは彼が何をしたいのかわかったのだろう。
リオネルはアイビーを抱え上げて、体を軽々と持ち上げている。
高い位置にいくと、アイビーは楽しそうに腕を上げて大喜びしていた。
リオネルはクルクルと回りながらアイビーをあやしている。

オパールはまるで『アイビーは子どもよねぇ……』と言いたげに目を細めて二人を見ている。
ローズマリーはやれやれと首を横に振るオパールを抱きしめながら、楽しそうに遊んでいる二人の様子を見ていた。

(この幸せな生活がずっと続いたらいいのにと思ってしまいますね)

ローズマリーはオパールの頬に擦り寄り彼女を抱きしめながらリオネルとアイビーを見ていた。


「そろそろお茶にしよう。侍女に頼んでくるよ」

「ありがとうございます!」


今日のお菓子は何なのか楽しみにしながら、ローズマリーはリオネルの背を見送った。
まさかあんなことがあるとは思わずに……。


* * *
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