【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
(クリストフside)


──時は三週間前まで遡る。


(ローズマリーめ……俺よりも劣っている分際で裏切るなんて許せん! 許せんぞっ)

クリストフはローズマリーが入った箱が出て行った扉を見ていた。
隣ではミシュリーヌが満足そうに微笑みながらクリストフに豊満な胸を押し付けている。
ローズマリーを箱に押し込んで国外に追放にしたのを多少なりとも後悔していた。
それに魔法樹のことも考えると焦りの気持ちがあった。

(後悔しても遅いからな。先に裏切ったのはお前の方だからな……!)

本当にこんなことをしてよかったのか、父に許可はいらなかっただろうか。
そんな考えが頭を過ぎるが、すぐに苛立ちでかき消されていく。
むしろ裏切られてムカムカした思いをさせた彼女に対する激しい怒りに

(いつ他の男を誑かしたんだ!? 俺という素晴らしい婚約者がいながらどうしてそんなことをする必要がある?)

クリストフはローズマリーと出会った時のことを思い出していた。


「はじめまして、ローズマリーと申します」

「……!」


珍しいライムグリーンの髪とライトブラウンの瞳。
整った顔立ちをしているものの、貴族の令嬢と比べると地味に感じる。
彼女は魔法樹を癒すことができる聖女という存在らしい。

婚約者になる前から、ローズマリーのことは一方的に見たことがある程度の認識だった。
だけど元平民ということで、会って話す気にはなれなかった。
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