【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーをバルガルド王国から追い出してから三日後のことだった。
一向に魔法が使えるようにならずに、クリストフは焦りを感じていた。
貴族たちもどうなっているんだとクリストフを問い詰めてくる。
だが、クリストフにどうにかできるはずもない。
魔法樹を使えるようにするのは聖女の仕事だからだ。
本物の聖女であるミシュリーヌに任せておけば、すべてがうまくいくはずだったのに……。
クリストフの頭にあることが過ぎる。
(ミシュリーヌは俺に嘘をついたのか? いや、そんなはずはない……ミシュリーヌとローズマリーが聖女として働き出して十年も経つんだ。今更、力がないなどと言うはずもない)
クリストフは嫌な予感がしてミシュリーヌを問いただそうと大聖堂に向かう。
そこには大司教や教皇たちもいて、彼女の父親であるルレシティ公爵の姿がある。
クリストフは柱の影に隠れるようにして耳を澄ませる。
「なんてことをしてくれたんだ! このままでは我々の計画が……っ」
「ですが我々が魔法を使える貴族たちに敵うはずありません! あのことを知られたらルレシティ公爵だって追い込まれるはずですっ」
「しかしローズマリーが抱えていたという赤子はなんだったんだ?」
「今、調べています。少々お待ちください……!」
「陛下にこのことを報告しなければっ」