【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
彼らは焦った様子で何かを話し合っている。

(彼らは何のことを言っているんだ? あの時、赤子はローズマリーの子どもだと思っていたが、ローズマリーは妊娠なんかしていなかったはずだ)

冷静になった頭で考える。こんな短期間で赤子を産むことなど不可能ではないか。
だが、髪色的にローズマリーと無関係なわけではないだろう。
そもそもクリストフに相談もなしに赤ん坊を迎え入れていることがおかしいではないか。
けれど胸がざわついて仕方ない。

(大丈夫、俺の判断は間違っていないはずだ……!)

その日の夜、タイミングよく国王である父が長期の外交から帰ってきた。
さすがに移動も多く長期の外交とあって疲れが顔に滲んでいた。

クリストフは紅茶を飲みつつ報告を受けている父の執務室へと向かう。
そしてローズマリーとミシュリーヌの件を話すことにしたのだが……。


「い、今……何と言ったんだっ!?」

「不貞行為を働き、本物の聖女であるミシュリーヌを虐げていたローズマリーは国外に追放しました。仕方なく正妃としてミシュリーヌと結婚します」

「もう一度言ってみろ……!」

「ミシュリーヌを新たな王妃に……」

「──そうじゃないっ!」


父が紅茶のカップを落として陶器が床に当たり粉々に砕け散った。
薄茶色の液体が広がっていき、シミを作って広がっていく。
クリストフはその様子を呆然としながら眺めていた。

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