【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで

そんな日々が続いていたが、いつの間にか周囲はすっかりとミシュリーヌが素晴らしい聖女だと思うようになっていた。
社交界に出ておらず魔法樹のそばにばかりいるローズマリーとルレシティ公爵とミシュリーヌに敵わない。
それにローズマリーにとってはミシュリーヌがどんな聖女だろうがどうでもいいことだった。

(美味しいご飯が食べられるのなら何も問題ありません)

孤児院で奪い合いをして強くなければ生き残れないような状況でお腹いっぱい食事ができるのは、何よりも価値があることだった。
ローズマリーにとって、魔法樹のそばにいたら満足な生活ができる。
それでいいのだ。

──それから十年が経とうとしていた。

ローズマリーが七歳で魔法樹を癒し始めてから、十七歳の今日までミシュリーヌが聖女として魔法樹を癒しているところなど見たことがなかった。
この真実を知っているはルレシティ公爵とローズマリー、バルガルド国王や大聖堂の大司教や教皇くらいだろう。

ルレシティ公爵はミシュリーヌが毒魔法を使うことをひた隠していた。
それは誰も知らない秘密だ。
何故、ミシュリーヌが毒魔法を使うのか知っているのかというと、ローズマリーにはぼんやりと魔力の光の色として見えるからだ。
その人を囲む魔力の光は、使う魔法を現しておりミシュリーヌは濃い紫色だ。
そのことを口にすると変人扱いされてしまうため、何も言えなくなってしまった。
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