【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「リオネル殿下は緑の聖女様を大切になさっているわ。このまま王妃になるのではないのかしら」
「あんなに愛おしそうにローズマリー様を見つめていたもの。きっとお二人が結ばれるのも時間の問題ではないかしら」
「そうよね。ローズマリー様がいてくださればカールナルド王国は安泰だわ」
「緑の聖女様のおかげね」
クリストフは怒りを我慢するのに必死だった。
緑の聖女などと呼ばれてはいるが、ローズマリーはバルガルド王国の聖女であってカールナルド王国の聖女ではない。
(ローズマリーは俺のものなのに……っ! 俺だけを愛しているんだ)
クリストフは唇から血が滲むほどに噛み締めていた。
勘違いをしているカールナルド王国の国民たちを一人ずつ罰してやりたい。
だが、今はローズマリーと新しい魔法樹を取り返すのが先だ。
クリストフはローズマリーがいるであろう城を目指していく。
水魔法をうまく使い、噴水や川などに紛れ込みながら動いていく。
屈辱的だったがこればかりは仕方ない。自分の地位を取り戻すためならなんだってやってみせる。
水魔法を使いこなせるクリストフに不可能はない。
自分を鼓舞しながら、時には汚水の中を進んでいく。
幸いお祭り騒ぎが続いているおかげか人が溢れ返っていたことで、警備も緩くなっているのだろう。
なんとか城内に侵入することができた。城の中を進んでいき、見つからないようにしながらローズマリーを探す。