【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
リオネルはローズマリーの元へ。
彼はローズマリーを抱きしめると嬉しそうに笑みを浮かべていた。

ドレスと同じオレンジ色の瞳はこちらをまっすぐ見つめている。
腰を掴まれて逃げ場がなくなったローズマリーは戸惑いつつ彼を見つめ返す。


『きっとローズマリーによく似合うよ』

『……ありがとうございます』


淡々と答えたローズマリーだったが、褒められて嬉しい気持ちがあった。
リオネルは上機嫌でローズマリーの頬に口付ける。
なんだかアイビーとオパールとキスばかりしているせいか、リオネルのスキンシップも同じだと思っていたのだが……。

(今、リオネル殿下がわたしの頬にキスを……?)

ローズマリーは柔らかい唇の感触を思い出しつつ呆然としていた。
リオネルの時だけは何かがおかしい、それだけは理解できる。
アイビーやオパールにいつも触れている感覚とは違う。
そんな不思議な体験をしたドレス選びのことを思い出していた。

(……なんだかわたしじゃないみたいです)

コルセットでお腹は苦しいが慣れてしまえばどうということはない。
マンダリンオレンジのドレスを着ると、いつもの聖女服とはなんだか違う。
ミシュリーヌがドレスの話ばかりしていたが、初めて気持ちが理解できたような気がした。

侍女に髪を整えて結えてもらい、生花を髪に飾りつけていく。
ライムグリーンの髪に色とりどりの花が映えている。
これはアイビーとオパールがローズマリーのために用意してくれたのだ。
ヒールのある靴を履くと背筋が伸びたような気がした。
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