【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
彼らはうまくいかない苛立ちをぶつけるようにローズマリーから食事を奪って苦しめる。
ローズマリーは真っ暗な大聖堂で空腹に震え、魔法樹に寄りかかっていた。
ぐーぐーなるお腹を押さえながら耐えるしかない。
三食きっちり食べていたのに、急に食事がなくなるというのはつらすぎるのではないか。

(大聖堂には草も花もありません。孤児院の時とは違って絶望的な状況ですね……)

ローズマリーの頭には走馬灯のようにここ十年の思い出が頭によぎる。
だけど苛立ちしかないことに驚きだった。

(ここに来てから食事をもらえる以外は幸せを感じませんでした)

なんとか食べ物で気持ちを誤魔化してきたものの、実際にここに来てからは休みなしで十年間働き通し。
教育を受けて魔法樹を癒し、食事をするだけの毎日。
こんなに働いているのに休みも娯楽も自由もない。
今まで考えないようにしていたが、なんだか空腹すぎてイライラが止まらない。
ローズマリーは何のためにここにいるのだろうか。

──グーギュルギュルグルグルゥ

けたたましい腹の音が反響している。
ローズマリーにとって空腹はどんな罰よりもつらいことだ。
するとローズマリーの目の前につるんとしたモスグリーンの丸いものが落ちているのが見えた。
果実にも見えなくもないが、こんな色の果実は今まで見たことはない。

(ついに幻まで見えるようになってしまいました。どうしましょう)
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