【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
そうわかった瞬間に『この子だけは守りたい』と強く思った。
どうにかしてバルガルド王国を変えたい、魔法樹を守りたい。
今までは食べ物にだけ執着して、周囲に流されるままだったローズマリーは意思が芽生える。

(わたしが動けば、新しい魔法樹を救うことができるかもしれません……!)

ローズマリーが空腹を忘れて何かを成し遂げようとするのは初めてのことだった。
もしもこれ以上、魔法樹を苦しめるのであれば、魔法樹を連れてどこかに行こうと決意する。
葉が揺れなくなった魔法樹、クロムは今から少しずつ枯れていくのだろう。

ローズマリーは赤ん坊を抱え上げた。
大聖堂からなんとか出してもらえるように頼もうと思っていると、何やら周囲が騒がしい。
バンッと乱暴な音と共に扉が開くと、そこにはクリストフとミシュリーヌを筆頭に貴族たちが列を成しているではないか。
嫌な気配を感じたローズマリーは赤ん坊を隠すようにクロムの根と根の間に置いた。


「ローズマリー、ミシュリーヌを騙していたとはどういうことだ!?」

「……何のことでしょうか」

「とぼけるな! 我々から魔法を奪うとはどういうことだ! この件のことをすべてミシュリーヌやルレシティ公爵から聞いているっ」

「……っ」
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