【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
「本当によろしいのですね? わたしは今まで一度もミシュリーヌ様が魔法樹を癒しているところを見て……」

「──無礼者ッ! これだから元平民は非常識で嫌になりますわ!」


ミシュリーヌがローズマリーの言葉に被せるようにして声を荒げた。
ローズマリーはため息を吐くしかなかった。
これ以上、何を言ったとしてもこの状況では無駄なのだろう。
クリストフとミシュリーヌはローズマリーの初めて見る反抗的な態度にかなり苛立っているようだ。
頭に血が昇っているのか、吐く息は荒く目が血走っている。


「ただ追放するだけではつまらない……ああ、そうだ。いいことを思いついた」

「赤ん坊もろともローズマリーを捕獲して箱に閉じ込めろ。もちろん〝あの箱〟だ」

「……!?」

「俺を裏切った罪を償うがいい……!」


クリストフの近衛騎士が容赦なくローズマリーを引きずっていく。


「……っ! やめてくださいっ」

「早くこの箱に入れ!」

「ぐっ……!」


抵抗していたが背中を強く打ちつけたことで声が漏れた。
大きな箱に投げ込まれたローズマリーは魔法樹の赤ん坊だけは傷つけないようにと抱きしめる。
最後に見えたのは眉を寄せて不快そうに眉を寄せるクリストフと、ミシュリーヌとルレシティ公爵の真っ赤唇が大きな弧を描いていた。

その光景を最後にローズマリーの視界は真っ暗に染まる。
箱に閉じ込められて何も見えなくなった。


* * *

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