【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーは窮屈な木箱に入れられたまま、どこかで運ばれていく。
ゴツゴツと箱にぶつかって体の節々が痛い。
人の話し声が外から聞こえたが、いくら叫んでも届いていないのかどうすることもできない。
ローズマリーはこの箱が罪人が入れられるもので、一度閉めたら開かない拷問具のようなものであることも知っていた。

(こんなものばっかり作るために魔法を使っているからクロムさんがあんなことになってしまったのです……!)

悪意によって魔法樹は穢れて力を失っていくそうだ。
そのせいでクロムは長年、苦しんだことだろう。
涙が溢れ出しそうになるが今は赤ん坊の前だと、ぐっと堪える。

幸い、箱の中では足や腕は伸ばせないものの少しならば体を動かすことができる。
でっぷりとしたお腹の貴族の男性でも入れるようになって、小柄なローズマリーと赤ん坊が入ってもスペースがあるのもありがたい。

今は荷馬車でどこかへ運ばれている途中なのだろうか。
これからどこに向かうのかローズマリーにもさっぱりだ。
魔法によって箱から出ることができないため確認すらできない。
ガタガタと揺れる馬車。真っ暗な箱の中でこれからのことを考えていた。

どう足掻いても抜け出せないとわかっているからこそ恐ろしい。
ローズマリーはしばらくボーっとしたまま動けないでいた。
自分は死ぬまでこの箱にいなければならないのか、そう考えるだけで気分が滅入る。
ならば今は何も考えないで魔法樹を守ることだけを考えていた方がいいだろう。
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