【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーは中からは何もできないし声も届かないが、木箱の隙間から出し入れは可能。
隙間を通る小さな木の実は花にたまった蜜や水分で喉を潤す。
毎回、休憩のたびに木箱に伸びるツタを見て荷馬車の御者が悲鳴を上げていた。
箱を覗き込んだり、開けようとしてみたようだがびくともしないらしい。

(やはり魔法を使えなければ、この箱は開かないのですね)

御者は気味悪がって休憩しなくなってしまったため、次からは素早く木箱に色々なものを届けて植物を元に戻していた。
道端に捨てられるよりはマシだろう。

魔法樹の赤ん坊だが、花の蜜も水も木の実の汁も口にしてくれない。
どんどん顔色も悪くなっていき、泣く声にも元気がなくなってしまう。
ローズマリーは焦りを感じていた。
水も口にしないというのはどうすればいいのだろう。

(魔法樹は水は与えられていませんでした。ということは魔力……魔力ならどうでしょうか!)

魔法樹はローズマリーの魔力で癒すことができると思い出して、魔力を送り込む。
すると赤ん坊の顔色は目に見えてよくなっていく。
もっともっととせがんでいるようにローズマリーの指を掴んでいる。
あまりの可愛さに笑みを浮かべた。
この子がいるから、ローズマリーは諦めずにいられるのだ。

(ああ、安心しました。よかったです……!)

とりあえずはローズマリーが生きていれば魔法樹は飢えることはないとわかった。
一安心したところでローズマリーのお腹が空腹を訴えて鳴き出したではないか。
何度か魔力を与えることを繰り返していくうちに体が大きくなっていることに気づく。

(成長が早いのでしょうか……どんどんと重たくなっていきます)

大きくなるのはいいことだと思いつつ、魔力の消耗が激しいためそれどころではない。

(このままだとわたしの方が先に限界がきてしまいます! どうにかしなければ……!)
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