【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ミシュリーヌが聖女となることを教皇は反対した。
恐らくこちらの考えを見透かしてのことだろう。
だが、父は大金を使って教皇をうまくねじ伏せたのだ。
ミシュリーヌが聖女とならなければ、バルガルド王国の貴族たちは終わってしまう。

それに今まで毒魔法を伏せていたことが功を奏したようだ。
ミシュリーヌはクリストフの婚約者になるために損になってしまうと、魔法の力をうやむやにしていた。
令嬢たちには『珍しい魔法だからお父様にむやみやたらに使わないように言われているの』と誤魔化していた。
すればミシュリーヌ自身の価値も上がるではないか。
何より毒魔法で気に入らない奴を屠れるのも悪くなかった。

(わたくしが毒魔法を使っているなんて、誰も思わないでしょうね)

社交界を影で支配しているのはミシュリーヌなのだ。
ミシュリーヌも嘘をつき続けなければならなかったが、今までとさほど変わらない。
自分の立場を奪われないためならばなんだってしてやると思った。
孤児院出身のローズマリーなど貴族社会で華々しく過ごしていたミシュリーヌの敵ではない。

(どうして平気な顔をしているのよ! 普通、ここまでしたら泣いたりするでしょう!? さっさと孤児院に帰ると思ったのに……っ)

予想外だったのはローズマリーのタフさだ。
だけど彼女は雑草のように強く、叩いても踏みつけても潰れない。
気にも留めないことも嫌がらせをしても飄々としていてスルリと躱してしまう。

何を言っても響かないところが更に腹立たしいではないか。
彼女は何も興味がない。関心があるのは食事くらいのものだろう。
だからコイツなんて敵じゃない……そう思っていたのに。
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