【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
(うぅ……! どうしてでしょうか。さっきまでお腹は空いていなかったのにっ)

ローズマリーがあまりの空腹感に芋虫のようにのたうち回っていた時だった。
扉をノックする音も聞こえずにいると、嗅いだことのないいい匂いが鼻を掠めたことでピタリと動きを止めた。

(はっ……! とっても美味しそうな匂いがします!)

ローズマリーが上半身を起こして振り返る。
銀色のワゴンに載せられているのは見たことがないほどの豪華な食事の数々。
真っ白な皿に載る厚切りの肉や厚切りの野菜に目を奪われた。
薄黄色のスープにはとろみがあり、白いソースが円を描いていた。
白身の魚に緑色のソース、芸術のように綺麗に飾られているデザート。
そしてカゴいっぱいに入っているさまざまな形をしたパン。

(わたしはまだ夢を見ているのでしょうか……!)

たくさんの侍女たちが次々と食べ物が乗ったワゴンと共に入ってくる。
その夢のような光景をローズマリーは血走った目で見つめていた。

すると彼女たちの後ろから入ってきたのは艶やかなホワイトシルバーの髪と美味しそうなオレンジ色の瞳の青年。
彼はにこやかに微笑んでいる。
真っ白な軍服にも似た服装はリオネルの魅力を引き立てていた。
しかしローズマリーはリオネルよりも目の前に並べられていく食事に夢中だった。
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